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月食の情報

このページでは、月食のしくみや、今回の月食の経過など、月食の基本情報について解説します。


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月食とは

月食のしくみ説明図

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 月は太陽光を反射して輝いています。月食とは、太陽−地球−月が一直線に並んで、月が地球の影に入ることで暗くなり、まるで月が欠けてしまったかのように見える現象です。

 地球の影には、太陽光の一部だけがさえぎられた「半影」と、太陽光がほぼさえぎられた「本影」の2種類があります。月が半影に入ることを「半影食」といいます。半影はぼんやりとした影なので、目で見ただけでは月食なのかどうか、はっきりとはわかりません。一方、月が本影に入ることを「本影食」といいます。本影は暗い影なので、本影食が始まると、肉眼でも、まるで月が欠けているかのように見ることができます。一般に「月食」という場合は「本影食」のことを指します。

 月がこの本影の中に入ると、月食が始まります。月の一部分だけが本影の中に入ることを部分月食(部分食)といいます。月が、影の中心からだいぶそれて通る場合には、部分月食しか起こらないこともあります。
 一方で、12月21日のように本影の中にすっぽりと入ってしまうと、部分月食に続いて皆既月食(皆既食)となります。この本影には、通常は、地球の大気によって屈折した赤い光がわずかに入り込んでいるため、しばしば皆既月食中の月は「赤銅色」と表現されるような「赤黒い色」で見られます。

 皆既月食が終わると、再び部分月食となります。やがて本影から月が完全に離れると、月食(部分月食)が終わります。しかし、もしかしたら月食が終わったあとも、月面に少しだけぼんやりとした暗さが残って見えるかもしれません。これは半影食が続いているためです。やがて半影食も終わると、完全に明るい満月に戻ります。

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12月21日の月食の経過

 12月21日の月食の各現象時刻と、おもな地点での月の出の時刻を表にまとめます。

◆各現象の時刻
現象名現象時刻備考
半影食の始め14時27.7分※日本全域で月が地平線の下(現象は観察できない)
月食の始め15時32.3分※北海道東部の一部を除く、日本の大部分の地域で月が地平線の下(現象は観察できない)
皆既月食の始め16時40.4分※およそ近畿地方以西では、月が地平線の下(現象は観察できない)
食の最大17時17.0分※南西諸島の大部分などでは、月が地平線の下(現象は観察できない)
皆既月食の終わり17時53.6分※南西諸島西部の一部では、月が地平線の下(現象は観察できない)
月食の終わり19時01.7分 
半影食の終わり20時06.1分 
◆おもな地点での月の出の時刻
地点名月の出の時刻食分(注)備考
札幌 15時51.4分0.300 ※部分月食中に月の出
仙台 16時08.8分0.565 ※部分月食中に月の出
東京 16時22.9分0.770 ※部分月食中に月の出
京都 16時39.2分0.986 ※皆既月食開始直前に月の出
福岡 17時08.0分1.242 ※皆既月食中に月の出
那覇 17時36.2分1.179 ※皆既月食中に月の出

注:月食の欠ける深さを「食分」という数値で表す。食分0.5とは、月面の直径の50%まで地球の影(本影)に入り込み、月が欠けることを意味する。食分が1.0以上となると、月面が地球の影に完全に入り込み、皆既月食となる。

月食の経過図(札幌)
月食の経過図(札幌)
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月食の経過図(東京)
月食の経過図(東京)
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月食の経過図(那覇)
月食の経過図(那覇)
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 12月21日の月食(本影食、部分月食)は、15時32分に始まります。しかしこの時刻には、日本のほとんどの地域で月が地平線の下にあり見られません。したがって月は、月食が始まった状態(月が欠けた状態)で地平線から昇ってきます(「月出帯食」といいます)。
 月食の経過は日本全国どこでもほとんど同じ時刻ですが、月の出の時刻は観察する場所によって大きく異なります。東京では16時23分に月の出となりますが、この時の月は、すでに8割近くまで欠けた状態で昇ってきます。
 日本全体での大まかな傾向では、東日本ほど早い時刻に月の出となります。このため、月食を観察できる時間は、東日本ほど長くなります。また皆既月食が始まるときの月の地平線からの高さも、東日本の方が高く、条件が良いことになります。

 皆既月食は、16時40分に始まります。このとき、月は本影の中にすっぽりと入り込んでしまいます。この時点では、およそ近畿地方以西では、まだ月が地平線の下にあり、観察できません。これらの地域では、皆既月食の状態で、月が地平線から昇ってきます。
 食の最大(月が、本影に最も深く入り込むこと)は、17時17分です。この時点でも、南西諸島の多くの地域などでは、まだ月が地平線の下にあります。
 そして再び本影の縁に月が差しかかり、皆既月食が終わるのは17時54分となります。南西諸島西部の一部では、この時点でまだ月が地平線の下にあります。この地域では、残念ながら皆既月食が終わった後に月の出となり、皆既月食が見られません。

 そして、19時2分、月が本影から完全に離れ、月食(本影食、部分月食)は終了となります。
 ただ、この後もまだ月は半影の中を通過しているため、しばらくは薄暗い部分が月面に残って見えるかもしれません。この半影食は20時6分まで続きますが、半影の縁ははっきりしないため、いつ終わったかを見極めることは困難です。

 なお、各地の月の出や月食中の月の位置は、暦計算室の月食各地予報で調べることができます。ぜひご参照ください。

 

地球の影に対する月の動きの図

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皆既月食中の月の色

皆既月食になると、月が本影の中に完全に入り込むため、月がまったく見えなくなってしまうように思われます。しかし、実際には本影の中にわずかに回り込む光の影響で、そうはなりません。

地球のまわりには大気があります。太陽光がこの大気の中を進むと、大気がレンズのような役割をして、ほんのわずかですが屈折して進みます。この時、青い光は空気の分子によって途中で散乱してしまいます。これに対して赤い光は散乱しづらいため、屈折して本影の中に入り込むのです。このかすかな赤い光が皆既中の月面を照らします。このため、皆既中の月は赤黒く見えるのです。

皆既中の色は月食の度に変わることが知られています。大気中にチリが少ないと、大気を通り抜ける光の量が多くなり明るいオレンジ色に、逆にチリが多いと通り抜ける光の量が少なくなり、黒っぽく見えます。今回の月食では、皆既中の月はどのような色に見えるでしょうか。ぜひ観察して、ご報告ください。

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