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夏の夜、流れ星を数えよう

必要なもの | 観測地 | 観測前の注意 | 実際の観測

ペルセウス座流星群の観測(上級者編)の解説

 「もっと詳しく観察するために」(上級者編)の内容について、さらに詳しく解説します。

観測に必要なもの

時計

 観測の時刻を記録するため、必要となります。時刻(秒まで)を確認することができれば、腕時計など、どんな時計でも構いません。観測前に、電話の時報などで秒単位まで合わせておきましょう。
 観測者の中には、大きくデジタル表示する置き時計や、触ると音声で時刻を知らせてくれる時計などを使用している人もいるようです。

懐中電灯(赤く減光したもの)

 観測は夜間になるため、懐中電灯が必要となります。人間の目は暗さに慣れることには時間がかかりますが、明るい光にはすぐ順応してしまいます。目が暗闇に慣れた状態を保つためには、「赤い色」で減光したライトを使用します。普通の懐中電灯を赤セロハンや赤いビニールテープで覆うとよいでしょう。また赤いLED(発光ダイオード)を使ったライトも有効です。
 なお、安全に移動するときなどのために、普通のライトも用意しておいた方が無難です。ただし、他に観測者がいるときには、観測の邪魔にならないよう、足下だけを照らすようにしましょう。

記録用紙

 どんなものに記録されても結構です。一人で観測する場合には、目を離さないように記録できる用紙が必要となります。観測者の中には、レジのレシート用のロール用紙などを利用し、仰向けのまま探り書きで記録している人が多いようです。
 グループで観測にのぞみ、記録者をもうける場合には、ノートなどでも構いません。下に見本を用意しておりますので、ダウンロードしてご利用ください。また、一人で観測した場合の観測後の集計用にもご利用ください。なお、用意した記録用紙Bの項目には、必ずしも必須ではない項目も含まれています。適宜ご利用ください。

鉛筆・ボールペンなど

 記録用紙への記入は何でも構いません。寒さにも強く、記録用紙が多少湿っても書ける鉛筆が便利です。一人で観測する場合、仰向けで記録用紙に書くことになりますので、加圧式のボールペンを利用する人もいます。ただし、ボールペンは、厳寒期や湿った紙を使った場合にはインクが出なくなることがありますので、ご注意ください。

レジャーシート・銀色マット

 一般的には、寝転がって真上を見て観測します。このため、レジャーシートなどを使用します。またアルミ箔を張った銀色のマット状のものは、地面の冷たさを防ぐ効果があります。
 観測者の中には、サマーベッドやアウトドア用の背もたれのあるイスを利用する人もいるようです。

テーブル・イス

 今回は、記録者のいる方法も合わせておすすめしております。この場合には、記録者用のテーブルとイスがあると便利です。折り畳みテーブルなども便利です。また一人で観測をする場合でも、休憩をとるときなどに使用できますので、あった方が便利かもしれません。

その他

 夏場といっても、明け方になると気温が下がってきます。簡単にはおれる上着などを用意しておきましょう。またキャンプ地など、標高が高い山地や山あいで観測する場合には、冷え込むことがありますので、防寒着があると便利でしょう。また寝袋などを併用すると暖かく観測することができます。
 このほか、虫の多い季節ですので、虫よけや虫さされ用の薬なども用意した方がよいかもしれません。

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観測地について

 流星の観測地には、「光害」と呼ばれるいわゆる市街地の明かりの影響の少ない場所が適しています。市街地など夜空が明るい場所では、暗い流星が見えなくなるからです。この影響は集計時に、最微星光度の観測をもとに補正されますが、あまり空の明るい場所では結果の誤差が大きくなってしまい、集計から省かれてしまいます。より精度のよい観測のためには、市街地から離れた、空の暗い場所で観測するのがよいでしょう。
 一方で、暗い場所というのは人気(ひとけ)が少なく、危険性も高まります。今回はより安全に観測ができるよう、グループで観測にのぞむこともおすすめしておりますが、くれぐれもお気をつけください。

 また、例え空の暗い場所でも、木々や建物で視界が狭くなってしまうと、見られる流星の数がとても少なくなってしまいます。この影響は雲量の観測に加えることで補正することも可能ですが、できる限り夜空を広く見渡せる場所が観測に適しています。

 なお、立ち入り禁止の場所や、私有地にはくれぐれも立ち入らないよう、ご注意ください。夜間出入りが可能な、広く見渡せる公園などがよいと思われます。

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観測前の注意

暗闇に目を慣らす(目の暗順応について)

 目が暗さになれて、薄暗い中でも見えるようになることを暗順応と言い、30分から1時間かかると言われています。星や流星は、大変かすかな光ですので、きちんとした観測をするには、観測地に着いて30分程度目を慣らしてから行うようにします。
 これとは逆に、目が明るさに慣れることを明順応と言いますが、こちらはわずかな時間で順応してしまいます。一度明順応すると、再び暗さに慣れるにはまた時間がかかってしまいますので、観測中は明るい場所やライトを避けます。一方で人の目は、赤い光では明順応しづらいため、記録用紙を照らしたりする場合には赤く減光した懐中電灯などを使うようにしましょう。

最微星光度(星の見え具合)を調べる

 天の川がはっきり見えるような暗い空と、やや白んでいてあまり星が見えないような市街地に近い空では、流星が見える数が随分と変わってしまいます。空の条件が違うと、観測結果を同じようには比較できません。この影響を補正するために、その星空に見える最も暗い星の等級「最微星光度」を調べます。
 これを調べるためには、比較的明るい星で囲まれたエリアの中の星の数を数えます。それぞれが観測する際、開始前と終了後には必ず調べるようにしましょう。
 星空にあるエリアは、決められています。以下におもなエリアの星図を示しますので、ご利用ください。なるべく天頂に近いエリアを使用します。

 正式な観測をするには4等よりも暗い星が見える星空が求められます。できれば5等くらいまで見える空で観測するようにしましょう。これよりも空の条件が悪いと、誤差が大きくなってしまうため、観測データを集計してもらえない場合が出てきてしまいます。

雲量(雲による覆われ具合)を調べる

 雲が出ていて空の見える範囲がせまくなると、当然見られる流星の数が減ってしまいます。そこで「雲量」を調べて記録します。
 雲量は、観測者が見ている範囲のうち、雲がどのくらいを占めるかという量で、全体を雲が覆っている状態が雲量10、雲がない快晴が雲量0です。例えば、視野の半分が雲に覆われていたら、雲量5となります。
 雲量も最微星光度と同様に、観測の開始前と終了後に調べますが、刻々と変化する場合は、途中でも時刻とともに記録しておくようにしましょう。
 なお、雲量が4以上になると、正式な観測として認められなくなります。雲量が減るまでしばらく様子をみてから、観測するようにしましょう。

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実際の観測について

観測担当は一人

 現在の流星観測では、一人で見た流星を数えるようにしています。これを個人計数観測といいます。今回は、二人またはグループによる観測もご紹介していますが、その場合も、必ずその時間に観測を担当する人を一人決めましょう。二人以上が空を見上げていても全く構いませんが、記録する流星は、担当された一人だけが見た流星のみを記録するようにします。

観測時間は30分以上

 正式な観測とするためには、観測する時間は30分以上が必要です。一般的には1時間あたりの流星数を比較しますが、いきなり1時間観測するのは集中力を保つのが大変です。そこで30分ずつに区切り、何度か行うことをおすすめいたします。
 開始は、一般的に毎時00分とか30分から始める人が多いのですが、きちんと開始と終了時刻さえ記録してあれば、いつ始めて、いつ終わっても構いません。例えば、23時59分から始めて0時32分に終わっても、記録をしておけば全く構いません。

一人で観測する場合の記録方法

 一人で観測する場合は、空を見ながら出現を記録しますので、工夫が必要となります。一つの方法は探り書きという方法です。これは、レジのレシート用のロール用紙など、長い観測用紙を用意して、流星が出現したら仰向けのまま、これに記録します。記録できたら、その部分を折り畳んで、次の流星の記録が重ならないようにします。
 もう一つは、録音できる装置を用意する方法です。流星が流れたら声をあげ、これをカセットテープやICレコーダーで記録します。ただし、後でもう一度聞きなおして、集計しなければなりません。録音を続けたままで観測すると、あとで聞きなおすのが大変ですので、流星が出現したときだけ、出現時刻とともに録音するようにします。時刻を自動的に録音できる装置があるとさらに便利でしょう。

グループで観測する場合の記録方法

 一人の観測では前述した通り、空から目を離さずに記録しなければならず、少々コツが必要になります。そこで、二人以上で観測にのぞみ記録者をおく方法も、今回は合わせてご紹介します。
 記録者は、観測者の視野の邪魔にならない程度離れて、かつ声の届く範囲にいるようにしましょう。そして観測者が伝える流星の出現状況や、空の状況を記録用紙に記録します。また随時時計を確認して、観測開始時刻や終了時刻を観測者に伝えるようにしましょう。
 なお余談ですが、記録担当と言っても、記録用紙や時計ばかりを見ているのでは大変です。ぜひ普段は空を見て、一緒に流星観察を楽しみましょう。観測者が「流れた」と声を発してから時計を見ても、記録さえとれれば大丈夫です。

観測者が見る方向

 観測者が見る(顔を向ける)方向ですが、基本は天頂方向にしましょう。このため、寝転がって観測する必要があります。(詳しくは観測に必要なもの参照)
 なお、視界のひらけた方向の都合などで、天頂よりも少し下側を見て観測をする人も多いです。このような場合は、視野の中心の星座、または視野の中心の方角・高度を記録するようにします。

記録する項目

 最も大事なのは、流星の数、とくに今回であれば、ペルセウス座流星群の流星と、そうでない流星を区別して数えることです。まずは、この二つを区別して数えられるように、記録します。

→群流星と散在流星の見分け方についての解説はこちら

 流星の数が多いときには、5分ごとに集計すると、あとでもう少し詳しい様子を知ることができて便利です。
 また慣れてきたら、出現時刻、明るさ、流星痕の有無(後述)なども合わせて記録してみましょう。

このほか、流星の速度や色などを記録する場合もあります。

 記録用紙(PDF形式)の見本を用意しました。ダウンロードしてご利用ください。

交代しながらの観測について(グループの場合)

 今回は、グループでの観測もご紹介しております。例えば二人の場合ならば、30分観測したら10分程度休憩をとり、今度は観測者と記録者を交代して観測するようにしましょう。三人以上ならば、「記録」→「観測」→「休憩」というように、ローテーション式にするとよいでしょう。

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