2012年8月14日早朝に金星食

国立天文台
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金星食について

惑星食について

なにげなく見上げた夜空で、月のそばに明るい星があることに気づいたことのある方は、少なくないのではないでしょうか。月も惑星も太陽の通り道(黄道)の近くを移動しており、とりわけ月は、ひと月ほどで星空を一周するという猛スピードで移動しています。そのため、月は惑星に頻繁に(見かけ上)接近し、ときには惑星を隠す現象(「惑星食」と呼びます)が起こるのです。

しかし、月が惑星に接近したからといって、必ず惑星食が起こるわけではありません。たいていの場合、月は惑星の南側や北側を通ってしまいます。また、惑星食の起こる時刻が、昼間だったり日の出直前・日の入り直後だったりすると、現象は起こるものの、空が明るいため、観察が大変しづらかったり、望遠鏡がないと観察できなかったりします。さらに、惑星食の起こる時刻に日本から月が見えなければ、当然、惑星食も見ることができません。

その上、金星は地球より内側の軌道を回っているため、見かけ上、太陽から大きく離れることがありません。そのため、金星食も、太陽から大きく離れた見やすい位置で起こることがあまりありません。

ですから今回のように、夜間、ほぼ日本全国で、金星食を潜入から出現まで観察することができるのは、とても珍しいことだといえるでしょう。

今回の金星食の見え方

今回の金星食は8月14日の早朝に起こります。

金星は、細い月の、光っている側から月に隠され、月の暗い側から現れます。(月の向こうに隠されることを「潜入」、月の向こうから現れることを「出現」と呼びます。)
潜入と出現の時刻は観察する場所によって違います。主な場所での潜入時刻・出現時刻は表1をご覧ください。

表1:主な場所での潜入時刻・出現時刻
場所潜入開始時刻 出現開始時刻 日の出時刻
札幌2時47分3時50分4時39分
東京2時44分3時29分4時59分
福岡2時41分3時27分5時40分
那覇2時53分3時00分(出現終了時刻 ※1)6時01分

※1 那覇では、金星は一部しか月に隠されないため、「出現開始」はありません。目安として、代わりに出現終了時刻を表示しました。

金星は点像ではなく大きさがありますので、潜入の時には一瞬では消えず、1分以上かけて、徐々に月の向こう側に隠れていきます。肉眼で見ていると、徐々に暗くなって消えていくように見えるでしょう。また、出現の時にも徐々に月の向こう側から姿を現します。

金星の潜入・出現位置を示した図
図1 金星の潜入・出現位置
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金星が月のどの位置に潜入しどの位置から出現するかは、観察する場所によって違います。図1に、札幌・東京・福岡・那覇で観察したときの、金星の潜入・出現位置を示しました。
那覇では、月の縁が金星すれすれを通り過ぎます。那覇周辺では、場所によって、金星が一部だけ月に隠されるという、興味深い現象が起こるはずです。

月と金星の見える方向を示す図
図2 月と金星の見える方向(格子の間隔は、上下・左右とも10度)
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図2には、札幌・東京・福岡の各地で、潜入時・出現時・日の出時に月と金星が空のどこに見えるかを示しました。潜入の前、月は東の空の低い位置に見えています。このとき金星は月の下に見えるはずです。その後、月と金星は右上に移動しながら接近し、金星が月に隠されます。出現時には、金星は月の右上から姿を現します。

各地での詳しい状況を知るには、以下のページをご利用ください。
惑星食各地予報(国立天文台 暦計算室提供)
(「計算地点」を指定して、「計算内容」を「2012」年の「金星食」として「Go」ボタンをクリックします。すると、「惑星食リスト」に「2012/8/14/金星」が表示されますので「選択」ボタンをクリックすると、その地点での金星食の状況が表示されます。)